超地味OLハリウッドへ行く~序章〜
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超地味OLハリウッドへ行く~序章〜



2008年

アメリカ西海岸

映画の都ハリウッドから車で15分ほど

LAダウンタウンのノキアシアター


映画館のスクリーンでも

テレビ画面でも

スマホの中のYoutubeでもなく


目の前のステージで

トム・ハンクスが話しています


ハリウッドには

有名人のソックリさんパフォーマーも沢山いますが

今目の前にいるのは

紛れもなく本物


トムがジョークを言って

会場の皆んながドッと笑う

昔なんかのテレビで

見たことがあるような光景です


違うのは

一緒に笑っている

イブニングドレス姿の私が

そこにいる


ということ


笑いながら

ふとある光景を思い出して

不思議な気分になりました



1994年

東京、神楽坂


時計を見ながら

『退社まで後3時間か...』

カレンダーを見つめて

『週末まで後2日...』


そんな毎日の

唯一の楽しみはランチタイムでした


色も丈の長さも襟なしのデザインも

全てビミョーに残念な制服に

“つっかけ”スタイルで片手にはお財布


『今日はコロッケ定食にしようかな~?』と

同僚と一緒に神楽坂の坂を下る私


毎日が

周りが全て

なんとなくグレーに見えて


コロッケのみが

1日の唯一の楽しみだったあの時の私には


アメリカのハリウッドで

エミー賞の授賞式に参加し

目の前で話すトムのジョークに

笑っている自分なんて

0.000001ミクロンも想像できませんでした



あの時の

あの決断が


コロッケ定食か

トム・ハンクスか

(笑)


私の人生がどっちに転ぶかを決めた

と言っても過言ではない、と思っています



つづく...



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